僅かな隙を突くべきだ

セナ自身の言葉で「僕はリスキーな走り以外できない。相手を抜かなければ時は絶対に抜く。」という言葉があります。『絶対』という強い言葉をつかっていることに、セナのレーシングドライバーとしての「勝利」することへの強い意志を感じます。セナには誰もが同じことをしてみようとしてチャレンジしたものの、セナの域には達することができない「セナ足」というドライビングテクニックの腕があり、セナのドライビングテクニックは誰もが認めるところですが、セナの危険な走行に対しての批判もあったことは事実です。

速いことそしてドライビングテクニックも高いセナですが、当時の会長から「危険なドライバー」のレッテルが貼られて、スーパーライセンスが発行されないという事態に陥ったこともあります。セナの「僅かな隙を突くべきだ」という強い気持ちと、F1での力関係など複雑ないろいろな絡みがあったからでしょうが誰よりも強く「誰よりも速く」という純粋な思いがあればこそだと思います

音速なあなたへ

雨のセナ

誰だって雨天時のレースよりも晴天のレースの方を好むにきまっています。ごくごく普通の高速道路を運転する時でも、雨の日の運転は滑りやすくおまけに視界も悪くなるので、普段以上に神経をつかうで晴天時よりも、かなり精神的にプレッシャーになります。

「雨の中嶋悟」といわれた元F1ドライバーの中嶋悟は、「雨の」がつくだけのことはあって、雨天時のレースがとても得意でした。そしてセナも中嶋悟のように「雨のセナ」と呼ばれるほど、雨のレースがとても得意で優秀な成績を残しています。これは「雨天時」の時こそ、ドライバーの腕の見せ所でマシンの性能の差が縮まるからこそ、ドライバーの腕が試されるのは雨だとも言われています。

1985年第2戦のポルトガルGPの決勝レースは大雨でした。大雨のレースの中で首位をずっとキープし続けて、セナは2位以下に1分以上の差をつけてF1で初優勝しただけではなく、ファステストラップまでも大雨のレースでたたき出しています。「レインマスター」と呼ばれ「雨のセナ」といわれることになるキッカケとなる大雨の中でのレースとなりました。

レインマスターになった理由

「雨のセナ」と言われたり「レインマスター」と言われるほどに、雨天時のレースをとっても得意だったアイルトン・セナですが、どうして雨のレースを得意中の得意にできたのでしょうか?!雨のレースが得意だった理由には、天才ともいえるドライビングテクニックを有するだけではなく、雨のレースを想定しての練習につぐ練習を重ねた鍛錬のたまものだといえるでしょう。

セナがカートレースを始めたばかりの頃ですが、雨のために路面が濡れたレースでセナは他のドライバー達に、ありとあらゆる場所で簡単に抜かれてしまいました。簡単にいろいろなドライバーからいとも簡単に抜かれたことを大変悔しく思ったことで、雨天時のレース展開を練習しなくてはならないと考えました。

そこでセナはサーキット場で練習をするために、あえてコースの上に水を撒いてコースを水浸しにします。そしてコースが濡れた状態をわざと作り出して、いかに速く走れるようになるかという技術を研究して練習を重ねました。「雨のセナ」と言われるほど、時には神がかり的なタイムを雨天時のレースでたたき出しているので、セナはもしかすると雨のレースが好きなのでは?と思ってしまいますが、セナ自身は雨のレースが好きではないことを生前に告白しています。

F1サイコー!

1993年:第3戦ヨーロッパGP

このレースは「雨のドニトンパーク」と呼ばれるレースですが、このレースは歴代のチャンピオンドライバーや当時のドライバー達が驚愕したレースでもあり「レインマスター」としてのセナの実力を目の当たりにしたレースとなりました。

PPはプロストでセナは予選4位でした。そしてプロストには1.6秒以上もの大差をつけられた状態でした。雨の決勝となりサーキットはウェットコンディションでのスタートとなりました。スタートの時点でセナは出遅れてしまい、1コーナーを通過したときには4位だったのが5位に後退してしまいました。

ところがここからセナは一気にペースアップします。次の2コーナーではシューマッハを追い抜き、さらに3コーナーでは大きくアウトにふくらみながらも加速していき、4コーナー手前でベイトンリンガーを追い抜きます。そしてそのままの勢いをキープしたまま、ヒルの後ろにつきます。そしてそのまま7コーナーで一気にヒルのインをついてオーバーテイクとなります。

そのままセナの勢いは止ることなく、10コーナーメルボルンヘアピンへの進入ではプロストのインに並びそのままプロストを抜き去る走りをみせて、オープニグラップで首位に立ちました。

すごいことに、スタートでは出遅れて5位にまで後退したにもかかわらず、なんと10コーナーまでに4台をパスしてしまうという、見事なラップでした。抜かれたドライバーのひとり、カール・ベンドリンガーは、このレースの抜かれた時のことを「下手についていかないほうがいいと直感した」と、その時の心情を語っています。

『F1史上、最も記憶に残るレース』といわれるだけのことはあって、セナのオープニングラップで全てのドライバーの戦意を喪失させたとも言われ「雨のセナ」を印象付けたレースでもあります。

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